花曇り

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和馬は空を仰ぎ見ながら囁いた『類は友を呼ぶ』 確かにそうだ。 僕が友達と呼べる奴らは種類でわけたら確かに同じグループに属するだろう。 その一人である和馬は小学校から友達だった、中学に入っても変わらず顔より大きな眼鏡を何度も人差し指で押し上げるのが癖だった。 まるで眼鏡に和馬が付いてるかのように。 ある日の放課後、和馬は教室で一人スケッチブックに絵を描いていた。 『何を描いてるの』 『この教室だよ』 僕にはこの教室を描こうという心理がわからなかった、いつもと変わらない教室、あるべき物があるべき所に落ち着いている。 でも和馬の描く絵はとても細密でリアルだった。 それも教室の空気をそのまま描き移したような。 『ねぇ僕も描いてよ』 と僕は眼鏡を何度も押し上げる和馬に言った。 『大丈夫、ちゃんと描いてあるよ』 そう言われたので絵を覗き込むと、そこには人は一人も描かれていなかった。 描かれているのは黒板や机などなど 『僕のこと描いてないじゃん』そう言うと和馬はまた眼鏡を押し上げながら 『きっと大人になってからこの絵を見た時にどこに描かれているかがわかるよ。』と確信に満ちた口調で言った。 確かに大人になった今 何処に自分が描かれていたかわかる。 でもそれは今でも忘れられない"あの人"の存在がなかったらきっとわからなかっただろう。
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