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気がつくと雨はやんでいた。
『やんだみたい…ねぇ手を繋いで帰ろう。』
辺りはもう闇に包まれかかっていた。
僕は生まれて初めて女の子の手を握った、温かい。
握った手も温かったけれど、それ以上に僕の心の底が温かった。
こうしてずっと手を繋いでいたかった…。
次の日の朝も雨だった。
下校途中あのトンネルの抜けた先に傘をさした女子が歩いてるのが見えた。
紫陽花のような綺麗な青色の傘、その隣にはパステルカラーの傘をさした子。
僕は女子と話すのは苦手だから気付かれないように距離を保った。
しかし、僕の存在に気付いたようでパステルカラーの傘の女子が振り返った。
『あっ…』
僕の思考回路が一瞬停止する。
その子は麻紀ちゃんだった、そうクラスの否、学校一の人気者。ある者たちはマドンナと呼んで拝めるぐらいだ。
まぁ例に漏れず僕も憧れてた。
容姿端麗、頭脳明晰、欠点がないかのようだった。
ある女子たちは彼女を見て『天は二物を与えずって言うけど、あれは嘘よね。』そう言われるぐらいに。
そんな子が僕を見て挨拶してきている。
『どうしょう』
するともう片方の子が振り返る。
『えっ』
それは優子だった。すぐに昨日の出来事が頭を過ぎる。
どうすればいいのかわからないまま僕は彼女たちの所まで来てしまっていた。
『二人ともおはよう』
軽く挨拶を交わす。
麻紀ちゃんは誰にでも平等に接してくれる、だから皆から人気がある。
教室に着くとまだ生徒は来ていなかった。
黒板消しの匂いがした…。
「
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