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「……あのさ、どうしてわかったの?私が……ミキのために吉岡に近付いたって」 ミキのためという言葉は間違っているとわかっていたが、解りやすく伝えるためにその言葉を使った。 たしかに私の筋書きはうまくいかず、失敗した。けど、思惑を悟られるほど私は自惚れてはいなかったし、顔に出すタイプではないはずだ。 私の考えがどうしてわかったのか。 私は思い返す。初めて公園でましろを見て考えたこと。言葉にしなくても、何も伝えずとも理解できる関係。それが親友というやつだろうか――――と。 だけどどうやら、その浅はかな予想は外れに外れていた。 「王太に聞いたんだよ。茉莉花が吉岡に近付いたのはミキって女のためだ、って」
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