迷路の中へ

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あの……。誰か通訳して下さい。 ワタシニホンゴワカリマセーン。 ………。 なんて言ってる場合じゃない。 そりゃ、俺は昔はモテたし?女に手を出すのだって、まぁ……それなりにしたよ。 でも。 こんな展開は、初めての経験で。 だってよ、ムードとか流れがあって……するだろ? それが『キスしていいですか?』って……。 場馴れしてない、童貞男しか言わないだろ? 固まる俺に、桜は悲しそうな顔をした。 あぁ。そうか。 場馴れしてないんだな。桜は。 恥をかかせるのか? でも体が動かなくて。 「どどど、どうして?」 なんて、最高潮な緊張に、今までにないどもりを披露する。 「嫌ですか?」 さらに悲しい顔をした桜に、メガネが吹っ飛ぶ勢いで首を横に振る。 「そ、そうじゃないんだ。その……あの……」 頭を掻きながら言葉を探す。 「大事に……したいんだよ。お、俺も男だし……その……あれだ…」 どれだよ!って突っ込みを、心の中で入れておいた。 桜は微笑んで、俺の隣に座った。 「手……繋ぐぐらいなら、構わないですよね?」 俺と桜の指が絡まる。 初めてハッキリ感じる、想いの架け橋。
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