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今日はな。春菜の旅立ちの、第一歩を踏み出す日なんだよ。
アパートの手続きをしに行く。
春菜は別々でいいと言ったが、俺が無理矢理一緒に行く事にしたんだよ。
きっと、独り暮らしをしだしたら、部屋になんて上げてもらえないからな。
エセ爽やかスーツメンと過ごす部屋の……せめて、間取りぐらいは知りたいじゃないか。
「遅いよ!」
待ち合わせ場所に、春菜が怒りながらいた。
正確には、『怒ったそぶりをしながら』かな?
どことなく笑って……と言うより、ニヤけた顔。相当嬉しいらしいな。
「どこの不動産にしたんだ?」
「もう少し行ったとこだよ」
「飯食ったか?」
「うん。食べた食べた」
そんな会話をしながら、春菜のナビで不動産屋に向かう。
こんな会話も、滅多に出来なくなるんだろうな。
俺が独り暮らしを始めた頃、親の目を気にせずに遊べるのが楽しかったな。
しばらく帰らないし、連絡もしないから……かなり怒られたっけな。
それで幸子と付き合うようになって、更に楽しくてなぁ……。
ご機嫌さを隠せない、春菜の横顔。
変なトコ、俺に似てるからなぁ。
春菜も遊び倒すんだろうな。
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