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終始、複雑な気分で手続きを終えた。
部屋を見たいと、いい歳してごねてみた。春菜に冷たくあしらわれ、間取りだけ見た。
ロフト付き、1K。
お家賃も、なかなか……高いな。春菜の手取り、いくらか知らないが……。
大丈夫なのか?
「じゃ、荷造りするから、帰るね!」
手続きを終えた春菜。
何て清々しい顔をしてるのか。
そんなに俺が邪魔か!
……邪魔だろうな。エセ爽やかスーツメンに、ゾッコンラブな状態なら尚更。
得意先を何軒か回り、ベンチに座り休憩をする。
あ~………。
そうだな。
一応、幸子にも知らせるか。
2コールすると、すぐに幸子は出た。
「珍しいわね。どうしたの?」
そういや、離婚して初めての電話だな。やけに、幸子の声が懐かしく感じる。
「いやな。春菜が独り暮らししたいって言って……。許可したからな。それを知らせておこうと思って」
わざわざいらなかったかな?話ながらそう思ってしまう。
「あら。あのコ、一人でやれるのかしら」
まぁな。掃除も洗濯も、幸子が全部やってたからな。
「いい時期なんじゃないか?生活する苦労を知るのは、大事なことだしな……」
苦労するのは、生活だけじゃないんだろうが。
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