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「そろそろ帰ろうか」
時計に目をやると、1時間が経っていたから。本当は、もう少し話していたかったが。
「そうします?……時間が経つの早いですね」
自分の時計を覗き、時間の経過に驚いた様子。
時間が経つのが『早い』と感じるのは、楽しい時しかないんだ。
撫子……いや、桜……うーん。桜ちゃん?……ダメだな。
桜さん。
うん。これがいい。
桜さんは、俺といた時間を『楽しく』過ごしたんだ。
まだ話足りないのか、会社であった事を話ながら、駅の外に向かった。
ふと、ガラスに写ったダブル桜。
どこから見ても、親子にしか見えない。そんな感じだった。
俺は背も高いが、横幅もある。髪は洒落っ気もないし、スーツもくたびれている。
桜さんは、地味ながらも、清潔感を漂わせる。そして綺麗だ。心も。
急に不釣り合いに見え、何とも言えない気分になる。
もとい、最初から釣り合ってるなど、思ってもいない。
いや、考えていなかった。
「今度、食事付き合ってくれませんか?」
な、な、な……。
何ぃ!?
こんなオヤジを逆ナンするのか?
ナンパ?いや、何だこれは?何で俺だ?
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