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「あなた、もういらないの?」
ごはんを一膳で終わらせただけで、こんな事をいわれてしまうぐらい、俺は食っていたのか。
「まぁ、健康を考えてだな」
すると、春菜がテレビを指差して言う。
「パパ、あんなんだもんね!長続きはしないと思うけどさ」
笑う春菜が指差すテレビには、メタボ腹と言われるモノが写っていた。
一緒になって笑う幸子の腹。それは、俺より『メタボリック』なんだがな。
まぁ、いいさ。
言わせておく。
「今に見てろ」
そう残して、居間をあとにした。
ジャージに着替えると、久しぶりに運動靴を引っ張り出した。
「よし!」
気合い十分で、夜の外に駆け出した。
星空の下を、中年オヤジが駆け抜ける。
走るたびに揺れる腹に、少しの苛立ちを感じながらだ。
しかし、久しぶりに走るのは……。なかなか……。
キツイ。
へこたれながらも足を止めず、ちんたら走った。
折り返しで思うのは、こんなに長い距離はやめればよかったという後悔だけ。
やめてしまうか。
そんな考えで帰りは歩いた。
もっと楽なダイエットはないものかな。
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