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「痩せたいよねぇ」
俺は今、会社にいます。
観察対象は、女子社員……3名である。
痩せたい。
そう口にする3人の前には、甘いジュースに甘いお菓子。
ちなみに今は昼休みで、この3人はしっかりご飯も食べていた。
「どうしたんスか?」
弁当片手に、部下の八嶋が登場だ。こいつは俺のスロット仲間でもある。
「いや。女の食欲と美容の矛盾について、観察をしていただけだ」
アゴでその3人を指す。
「本気で痩せたい女は、絶対に他人に言わないっすよ」
弁当を開けながら笑う。
「何でだ?」
「女の敵は、女だからっすね。痩せる宣言したら、邪魔されるみたいっすよ」
八嶋の彼女情報だと。
「何か、いろいろ入った弁当だな。親が作ってるのか?」
「彼女っす。片寄った食事したら、体に悪いとか言って」
俺は、さっき食べた『愛妻弁当』を思い出す。
8割が冷凍食品、2割が昨夜の残り物だったな。
鮮やかなその弁当は、まさしく『愛妻』を彷彿させるもの。
それを『彼女』が作ってるってんだから、何ともびっくりだな。
「ちゃんと食うようになって、5キロ痩せましたよ」
……それは、聞き捨てならないな。
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