頑張れ、俺

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俺の記念すべき、ジムデビュー。 会社には、八嶋の彼女が迎えに来ていた。 「はじめまして」 にこやかに挨拶をする、八嶋彼女。 「よろしく。桜井です」 ぎこちないな。 「いつも噂は聞いてます。洋子って呼んで下さい」 さらに、にこやか。 うん。 想像と違う。 あの弁当の中身や、健康の為にジムを薦めていた話。それを聞いて、スポーツウーマンを想像していた。 「ふむ……」 八嶋と並ぶ彼女を見る。 茶髪の今時の髪型。 まつ毛には、これでもか!と言わんばかり……と言うか。 これでもか!と言いながら、マスカラが『乗って』いる。 ラメでギラギラした目元に、油ものを食べたあとのような唇。 「意外すぎる……」 容姿と中身は比例はしない。 それは、わかる。わかるんだけども。 「意外だ……」 「どうしたんすか?」 八嶋が俺の呟きに反応。 何でもない。かわいい彼女だな。そう言っておいた。 塗りすぎで、元の顔が想像つかない。 間違っても、これからジムに行く化粧ではないぞ。 俺は少しヒヤヒヤした。 あの化粧が汗で流れて……。気付いてみれば、パンダになっていたら……。 俺は笑ってしまうかもしれない。
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