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暑い……。
夏だから仕方ないのだが。
ジムに通い、キャベツを食べ、寝る前の腹筋。
毎朝桜と出勤し、夜は憂鬱な一家団らん。
桜と出会って、3ヶ月が経っていた。
「いやぁ。桜井さんか!」
得意先の社長が、俺の頭からつま先までじっくり眺める。
「えぇ。桜井ですが」
来るか?
「いやぁ!見違えました。」
来たよ!
よく言われる。見違えたと。
自分でも思う。
スーツはすべて買い替えた。
ちょっといいスーツに。
「私はね、実は太った人間が嫌いでね!」
久しぶりに会った社長は、俺を見て機嫌がよくなっている。
「では、以前の私では、さぞかし不快だったでしょう」
不快に決まってる。
社長は『はっはっは』と笑い
「実はな」
と言った。
それに対し、苛立ちを感じない。何故なら俺は、生まれ変わった。
社長が言うには、太った人間は自己管理に甘い。
だから、大事な仕事を組む気にはならなかった。すべてを一緒に見るのはナンセンスだが、自己管理の甘い人間は信用できないと。
「なかなか短期間で、ここまで管理するとはね。この仕事も管理してもらおうか」
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