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帰社と同時に、自分の会社の社長にも報告。
いい事があった日も、家に帰るのは憂鬱なんだな。
今日は桜に会えるかな。
朝は必ず会えるが、帰りはなかなか会えなくなっていた。
いつもの時間の電車に乗り込み、いつもの駅に一番に降り立つ。
下車する人を探すが、桜の姿は見えない。
どうしようか。
今日はもう少しだけ、穏やかな気持ちでいたいんだよな。
もう一本、待ってみよう。
ベンチに腰掛け、缶コーヒーを開ける。
一本電車を待つが、桜は現れなかった。
俺より早い時間に帰ったのかもしれないし、いつも会う約束をしてるわけではない。
「帰るか」
缶コーヒーの空き缶。
スチールと書かれたゴミ箱に投げ入れる。
その音がやけに響くホームを、あとにする。
窓ガラスに映る俺。
くたびれたスーツとサヨナラした。メガネは、洋子ちゃんお薦め『お洒落ダンディーメガネ』に変えた。
髪型は短めにカットし、自然に散らして下品になりすぎずに。
八嶋と洋子ちゃんは、某テレビ番組のファンらしい。俺を『改造』するのが楽しくて仕方ないとか。
《明日、洋子と買い物行くんですけど、一緒に行きません?》
俺の師匠の八嶋からだ。
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