これが日常

4/6
前へ
/324ページ
次へ
「わからん」 ぶっきらぼうに答えてやる。 「それじゃ、ごはん支度に困るじゃない」 何だこいつは? たかが一人分多く作ろうが、余ればお前が食うだろう。だからそんなに育ったんだしな。 「外で食べる。晩飯も」 これでいいんだろ? 専業主婦は気楽でいいな。三食昼寝付きだ。 旦那を追い出して、ゴロゴロしてるがいいさ。 「あぁ、あと、あなたのパンツ買って来たら?最近あなた太ったから、ワンサイズ大きくしなさいよ」 デブに言われたくない。 まだ、お前よりマシだ。 こんな事を言ったら、小遣いが無くなるから言わないが。 そうだな。と返事をして、さっさと家を出た。 プラプラと歩きながら、向かう先はパチンコ屋。ここが俺の心のオアシス。 お気に入りのスロット台と向かい合う。今日もよろしくな。 今日は調子がいいみたいだ。 コンスタントに当たりを重ねる。 「おっと」 コインが手から一枚こぼれ、足元に落ちた。 それを拾おうと屈むと、ミニスカートから伸びた足が、サッと逆方向に向けられた。 「失礼」 顔を上げて言うと、あからさまに嫌な顔をされた。 年代は、20代前半ぐらいか。お世辞にもかわいいとは言えないな。
/324ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2017人が本棚に入れています
本棚に追加