不幸な生物学者

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 森を歩いていた時、まず先を行くガイドが何者かに襲われた。ハンターは即座に銃を取ったが、既に喉を貫かれていた。槍のようにとがった毛が、おそらくはガイドを襲うと同時に放たれていたのだ。    その鋭さはヤマアラシの棘のごとく、だがガイドを食い荒らす姿は虎そのものだった。 「きょ、教授……なんですかあれは!」  助手の悲鳴に男は答えられなかった。虎とヤマアラシの合成生物など、その姿を目の当たりにしても男には信じることができなかったからである。    男と助手はそれぞれでたらめな方向へと逃げ出した。  今は連絡を取る術はなく、助手が無事であるかは分からなかった。
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