南海の孤闘

不幸な生物学者

　何をしているのか。

　そんな疑問が走った次の瞬間、全身のヤマアラシの棘がいきり立つように跳ね上がった！

　そしてそれが、爆裂して四方に飛び散る！

（と、棘を、針をこういう風に飛ばせるのか！）

　でたらめに飛ばされた棘は、そのうち二本が男に刺さった。一つは肩を貫き、もう一つは左の太腿に刺さって止まっていた。

　男は堪らず叫び声を挙げる。

　化け物はその声を頼りにこちらに跳ねてきた。