うつけ者

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珀は近くに居た野菜を並べている老夫婦2人に話を聞くことにした。 「この国には信長様と言われる方がいらっしゃると聞いたのだが、一体どういうお方かお聞かせ願えんか?」 じいさんの方が答える。 「あのお方は随分と風変わりなお方じゃ。遊び相手など身分を選びなさらん」 ばあさんが話に加わる。 「そのせいで家臣達からは冷たい目で見られていらっしゃるとか、だが……」 ばあさんはそこで話を切る。 「だが…?何かあるのか!?」 珀はばあさんに先をうながす。 「『いけめん』なんじゃ!目の保養になるんでのう、あたしゃあ信長様が好きだねぇ」 じいさんが負けじと言い返す。 「お顔では無いじゃろうがっ!!!?信行様だってお優しい顔をしていらっしゃる!!」 「ふん!信長様を狼とすれば信行様は兎じゃな」 「お前は何と罰当たりなことを…!!」 このままいるとめんどくさくなりそうになるので、珀はこの場から離れることにした。 .
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