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その後も珀は聞き取り調査を続ける。
だが、結局得られた情報は、
『情が無い、冷徹』
『信長はうつけ者』
『機嫌が悪いときと良いときの差が激しい』
『機嫌が悪いときに近づいてはいけない』
『女には興味がない』
『イケメン』
など、特に新しい情報も無く、そろそろ聞き取り調査を終えようと思っていた。
その時、通りかかった河原でちょうど珀と同じくらいの年頃の男達が相撲をしていた。
見ると信長ともあまり変わらない青年達だった。
「すまないが、少し私と話をしてくれないk…」
ズッシャャャー
コケた。
「またかぁぁぁあ゙ぁっ!!!!?」
しかも次は目撃者がしっかりといる。
珀を見る視線は痛々しかった。
「あ~えっと…あんた大丈夫か?」
珀が恥を晒したのをバッチリ見ていたうちの一人が気を遣っているのがハッキリ分かる声で言いながら手を差し出してくれた。
「あぁ、大丈夫だ。ありがとう」
珀は差し出された手を取りながら立ち上がった。
「それで、俺達となんの話をするんだ?」
男達の中のリーダー的存在の奴が言った。
眼が切れ長で鋭い。
「この国のことについて聞きたくて。私は隣国から来たのだが、この国は今、後継者争いが起きているそうじゃないか」
珀がそう言った瞬間場の空気が変わった。
「あ、俺そろそろ帰るわ!!」
「俺も!」
「ちょっと待てよっ、俺を置いていくな!!俺も行くよ!!」
「なっ!?ちょっと待てよ、お前達、まだ話しは終わって…」
珀が言葉を言い切る前に相撲をしていた男達はリーダーの男を除いて皆走り去って行った。
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