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列車の少年
車窓に、雨滴が当たる。
雨滴は、不規則な、ジグザグ模様を描いて、下に落ちていく。
初めの雨滴が落ちると、次の雨滴が、次から次へと、やって来て、前の雨滴と、似た様なコースを描いて、車窓の下へ落ちていく。
雨滴がさも1人の人生であるかのように……
その雨滴の軌跡を、白い人差し指が、なぞっていた。
白い人差し指をしたその少女は、雨滴の軌跡を飽きる事もなく、いつまでもなぞっているのであった。
雨の日の東北本線の車内の光景である。
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