列車の少年

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 その少女は、少年とは、反対側の通路を隔てた向かい側の席に座っていた。  髪を肩まで長く垂らしており、少年の知らないセーラー服を着ていた。  指の様に顔も陶磁器の様に白かった。 透き通るようだった。 色の白い人だな、と少年は思った。 少女は、雨滴の軌跡を、指先で辿りながらも、実際、瞳はその先の窓外の闇を見つめているのであった。 少年には少女がそう見えたのだ。  遠い、遠い……遥かな未来を見ている…………  image=425717370.jpg
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