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僅かに動揺する俺…。 その動揺に気づかれたのか“やっぱりな”というような目で見つめてくる男に俺は慌てて言った。 「い…いきなり風が吹いて落ちただけだっつ~の!そ…それよか助けてくれてありがとな!まじあんたが助けてくれなかったら完璧死んでたよ!…ハハ」 無理矢理作った笑顔で早口でまくし立てた… バカか俺…これじゃ完全に墓穴掘ってる… ヤバいと思いながら男をチラリと見ると、疑わしい視線はそのままに渋々といった感じで口を開いた。 「別に…俺が海に飛び込んで助けたわけじゃねぇし…俺は浜辺に倒れてたお前を運んできただけだ」 その言葉に俺は首を捻った。 海に落ちて体が沈んでもうダメだと思った時、確かに誰かが俺を助けてくれたはずだ。
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