159人が本棚に入れています
本棚に追加
あぁ…俺…死ぬんだ…
息もできず、力もなくなってきた俺は頭の中でそんな事を思った。
ありきたり…
ありきたりな失恋をしてありきたりな自殺か…
まぁ、それも悪くない。
俺が死んだら、トウマは泣いてくれるだろうか…?
好きだと言ってくれるだろうか…?
薄れていく意識の中で俺は小さな希望を抱いた。
バカだな…
死んでから好きと言われても無意味なのに…
ブクブクと目の前に広がる泡。
このまま泡になって消えてもいいか…
とうとう意識を保てなくなってきた俺は、最後の吐息を吐き出した。
この泡ごと俺のありきたりな恋も人生も終わる…
「…君の命はまだ終わらせないよ」
突然どこからともなく声が聞こえてきて、沈む体が止まった。
冷たい海の中にいるのに、なぜか温かさを感じてフワリと何かに包み込まれる感触がした。
必死に瞼を開くと、一人の青年が俺の目の前にいた。
スゲー…綺麗な瞳…
まるで海の碧さそのもののような深い碧。
宝石のようなその瞳に吸い込まれるように、俺の意識はそこで飛んだ。
最初のコメントを投稿しよう!