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その古びた天井を見つめながらまたぼんやりと考えていると、突然視界に人影が飛び込んできた。 「夢じゃねぇよ!バカ野郎が!!」 やけに怒っている相手に現実だと言われた。 ってかバカは余計だろ…バカは… ムッとして相手をよく見ると、目の前には一人の青年が眉間にシワを寄せて俺を睨み付けていた。 黒い短髪に、陽に妬けた浅黒い肌、彫りが深く整った顔…ムキムキ…とまではいかないが、わりとガッチリとした体格のいかにも“男らしい”って言葉がよく似合う奴だ。 「あんた…誰?ここどこ?」 初対面なのは確かだ。 こんな色黒の男前、知り合いにはいない… 俺は目の前の男に訊ねた。 男は俺の言葉を聞くと、ますます眉間にシワを寄せた。 彫りの深い顔が更に彫り深くなる。 男前ってのは不機嫌な顔になっても男前になるんだな… またどうでもいい事をぼんやりと考えていると、男は盛大にため息をついた。 「お前覚えてないわけ?」 「…は?何が?」
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