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その出会いは突然に
その日は秋の寒い日だった。俺はいつもどおりヘッドフォンを付けて学校から帰ろうとする。
そう、俺は学校に友達と呼べる者がいない。
タッタッタ…。眼鏡を掛け直すと後ろから二人分の足音が聞こえて来る。
「待てよ江波!」
「先に帰るなんて酷いんじゃない?」
前言撤回。一応だが二人だけ関わりのあるのがいた。
「何だ、綾瀬川、呂蒙」
「おい江波!どうして置いて帰るんだよ!」
「…別に。一緒に帰りたい訳じゃないし」
「でた江波のツンデレ!」
このとにかく五月蠅いのは『綾瀬川真希(アヤセガワマサキ)』。馬鹿だ。
「全く…真希、五月蠅いよ」
「おい、二人で同じ事言うなよ。辛くなっちまうだろ~!」
「暑苦しいなぁ。もう行こうか、元揮…って先に行っちゃだめだよ?」
この人懐っこいのが『呂蒙絵澄(リョモウカイト)』。
三国志の『呂蒙子明』と血の繋がりがあるとかないとか…。
「それで、今週末に俺らで遊びに行こうぜ?」
「いいね、綾瀬川は何処に行くつもり?」
おっと忘れてたな。改めて俺は『江波元揮(エナミゲンキ)』。誰とも関係を持とうとしない奴だ。正しくは持てない、なんだが詳しいことは別にいいだろ。
「聞いてるか江波?今週末十時に駅前だぞ、いいな?」
「はいはい。それじゃ、俺は帰るよ」
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