24人が本棚に入れています
本棚に追加
広い平原に椅子がひとつ
腰掛けて耳を澄ます
鳥や虫の鳴き声
動物達の駆ける足音
それらが木霊の様に
響いている他は
生き物の姿を認められず
草が乱雑に風に揺れている
遙か遠くに丘や森があり
小さな雲と見違う程の
おぼろげな姿で
かすかに山脈が見える
椅子の廻り三メートル四方に
透明な硝子の壁があり
私はそこを出ることが出来ない
出ようという気もないので
また椅子に座り直す
よく目をこらすと
遠い丘の上で
彼が鷹と戯れている
ふと気付けば
私の足元に野兎がいて
つかの間うろついた後
すぐに離れ 姿を消してしまう
追っても壁に弾かれ
まるでフラッシュの様に
消えたり現れたりを
繰り返すだけだ
それが何処から現れたのか?
多分 私は気付いている
壁から一歩外に出れば
最初のコメントを投稿しよう!