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あいつを見ていると、昔の自分を思い出す。
―――
「お父さん、どうして僕にはお母さんがいないの?」
少年は少し寂しそうな目で、声でその少年の父親である男に言った。
お父さんと呼ばれた男は、その言葉を聞いて顔を歪めた。
ただ、その少年は純粋に理由を知りたくて言葉にしただけだった。
だが、その純粋さ故にその男は寂さや悲しみなどの感情で顔を歪めてしまった。
だが、その時の少年にはその表情の意味を理解することができなかった。
「すまないな。今は話せない……でも、いつかは話す」
男はそう優しく言葉にした。
少年は何故か、その時に何も喋れなかった。
そして、その日から数年が過ぎた時に俺は親父に呼ばれた。
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