僕と彼女。

コーヒーとミルク。

「白と黒、どっちが強いと思う？」

いつもの時間、いつものダイニング。そしていつものコーヒーが僕等の食後である。

しかしいつもと違うのは彼女からの質問。彼女はコーヒーを注いで、マグカップを手に取り、僕にそう尋ねた。

白い湯気が、僕の目の前でゆらゆらと揺れている。

「黒」

僕は砂糖もミルクも入っていない真っ黒なコーヒーを一口飲んで、そう答えた。ほろ苦さが舌の付け根を刺激して、喉をゆっくりと降下した。

「違うわ」

彼女は大げさに溜息をついて、肩をすくめた。マグカップをテーブルに置いて、コーヒーの中にミルクを注いで、「ほら見て」と差し出した。