コーヒーとミルク。

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マグカップを覗き込むと、ミルクはコーヒーに溶け込み、あっという間に黒を、薄い茶色に変えていった。 「黒に白を入れたら黒は薄くなるでしょ?」 だから黒より白が強いの。 形の良い唇を三日月型にして微笑んだ。そして、そんな彼女に僕も笑った。 「何かおかしい?」 不思議そうな顔をする彼女に、僕は教えてあげる。 「白よりも黒が強いんだよ」と。 コーヒーとミルクなんて、マグカップの中の世界なんて高が知れてる。 「だいたい、その逆だってあるわけだろ? 牛乳にコーヒーを入れたら、牛乳は濁ってコーヒー牛乳になる」 そう言うと彼女は頬を膨らませた。そんなの屁理屈だ、とか思っているのだろう。それでも僕は構わず話し始める。 「僕が思うに……」
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