4人が本棚に入れています
本棚に追加
「だから白のほうが強い」
人は自然に白に惹かれているのよ。
彼女は得意気に微笑んだ。
「なるほどね……」
なかなか考えたものだ。でも僕にもちゃんと考えがある。
「じゃあ聞くけどさ、希望ってどうやったら見つかるの?」
「え……?」
ちょっとビックリした様子で彼女は僕の方を見た。
「そうね……確かに、どうしたら……」
呪文のように呟く彼女に、僕は反論を始めた。コーヒーで口の中を湿らせてから。
「明るいものって言うのは、暗い所からじゃないと見えないだろ? 君の言う希望だってそうさ。絶望からの方が希望は見つけやすいと思う」
ああ、僕もこういう例えにしていればよかった。
そんな事を頭の片隅で考えながら、続ける。
「さっき僕が言った宇宙の例えも全部ひっくるめて……」
白は最初に黒がないと存在できないんだ。
明るい希望だって、暗い絶望からじゃないと見出せない。
光り輝く太陽や恒星だって、黒い、暗い宇宙じゃないと輝いては見えない。
僕が言い終えると、彼女は両手を挙げて降参した。
「やっぱりあなたには敵わないわね」
最初のコメントを投稿しよう!