コーヒーとミルク。

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「だから白のほうが強い」 人は自然に白に惹かれているのよ。 彼女は得意気に微笑んだ。 「なるほどね……」 なかなか考えたものだ。でも僕にもちゃんと考えがある。 「じゃあ聞くけどさ、希望ってどうやったら見つかるの?」 「え……?」 ちょっとビックリした様子で彼女は僕の方を見た。 「そうね……確かに、どうしたら……」 呪文のように呟く彼女に、僕は反論を始めた。コーヒーで口の中を湿らせてから。 「明るいものって言うのは、暗い所からじゃないと見えないだろ? 君の言う希望だってそうさ。絶望からの方が希望は見つけやすいと思う」 ああ、僕もこういう例えにしていればよかった。 そんな事を頭の片隅で考えながら、続ける。 「さっき僕が言った宇宙の例えも全部ひっくるめて……」 白は最初に黒がないと存在できないんだ。 明るい希望だって、暗い絶望からじゃないと見出せない。 光り輝く太陽や恒星だって、黒い、暗い宇宙じゃないと輝いては見えない。 僕が言い終えると、彼女は両手を挙げて降参した。 「やっぱりあなたには敵わないわね」
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