出発

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  ゆっくり手元のボタンを押した。 カチリという小さな音と共に、足下から腹に響き渡るような低音が鳴り始めた。 その低音が大きくなるにつれ、自分の細胞がバラバラになったような錯覚を覚えた。 味わったの事のない苦痛を感じ、歯をくいしばろうとするが力が入らない。 やがて、全ての感覚が麻痺し、自分が自分でなくなっていく。 そのまま私は真っ白な闇の中に吸い込まれた。  
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