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人気の無い道端で、そびえ立つ門の右側に掛けられた板を見つめる女が一人。 咲哉 真生 『サクヤ マイ』 歳は18。 「勢いで来ちゃったけど、ちゃんと雇ってもらえるかな…。」 不安を口にし、小さな溜め息を吐いた。 三日前に勤めてた店を首にされた為、住み込みの女中を募集していると聞いて藁にもすがる思いでこの場所を訪ねている。 幸い今は親戚の家で寝泊まりさせてもらっているが、いつまでも甘えるわけにはいかない。 「料理も掃除も得意だし、きっと大丈夫っ。」 自分自身に強く言い聞かせると、意を決して開いた門から中へ叫んだ。
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