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 歓声が、上がった。グラウンドが熱気に包まれる。  オレは肩で息をしながら揺れるゴールネットの余韻と涼しい顔でチームメイトに賞賛をもってして迎えられる幼なじみのユウタをただただじっと睨んでいた。  中学のサッカー部最後の市大会決勝。0対0の同点から入れた一点はあまりにも大きく重い。それくらい、わかってる。それでも素直に喜べなかったのはきっと――。 「……なんでアイツばかり」  お前はオレの前を行く。オレはお前の後を行く。勉強もスポーツも人柄も容姿も何一つ勝てない。  ――ユウタはオレなんかじゃ手の届かない遠い存在。  けどこの一点だってオレのアシストがあってこそだ。少なくともオレはそう自負しているのに周りには誰一人いない。自然と視線は地面に縫い止められた。  ――だから……嫌いだ、あんな奴。  オレの前に影が差した。 「ナイスアシスト」  不意にかけられた労いの言葉。  ユウタだった。ユウタがオレの前でハイタッチでもしようというのか顔くらいの高さの位置に手を出している。  ――大嫌いだ、こんな奴。  汗ばんだ右手がユウタの出した右手にやっと……届いた。
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