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「何?俺の行動が気になるの?」
「それは…臨也が何かに夢中になってるのが珍しかったから…。」
「そう?」
すると彼の唇が私の耳元へと降りてきた。
「君にだったらいつでも夢中だよ?」
「っ…!?」
彼の低い声にゾクリとし思わず背筋を伸ばしてしまう。
恥ずかしくてみるみるうちに紅潮していく私の顔を見て臨也は面白おかしそうに笑っていた。
「突然やってきて勝手に入ってきた事に関しては何も突っ込まないのに、こういうとこだけはまだ慣れてないみたいだね?」
そう言いながら指でクルクルと回しているのはキーホルダー。
その先には銀色で鈍く光るものがつけられている。
鍵だ。
よく見るとその鍵の形は私の家のものと寸分違わぬものだった。
「…いつの間に合い鍵なんて作ったのよ。」
「君が俺にいつまでたっても作ってくれないからじゃないか。」
「作らなくたってインターホーン押してくれたら入れるのに。」
「それじゃあ、つまらない。」
「え…。」
バサリと雑誌が床に落ちる音が聞こえる。
一瞬何が起こったか理解ができなかったがすぐに気がついた。
「っ!?」
顎を固定されて逃れられない。
抵抗すればするだけそれは深くなり私の意識を朦朧とさせる。
どれくらい続いていたのだろうか、離された時にはすっかり体の力が抜け落ち肩で息をしながら彼にすべてを委ねている状態で…そんな私をみて臨也は満足げに微笑むとその整った薄い唇が開いた。
「君が気づいてたんじゃ意味がないでしょ?」
「どう…して?」
「どうしてって?そりゃもちろん…」
― 君が好きだから君の全て知りたい ―
(驚いた君のその表情が思ったよりも魅力的だった事、その唇がスイーツなんかよりも甘い事も今知ることができたよ)
(だからもう1回キスさせて)
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