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瑠川 シア
彼女は私の仕えるべき主
天才と呼ばれた祖父をもち
私はその祖父に作られた
ヒューマアンドロイド
ノアと申します
本日午後1時27分
「早く帰るから」
そう笑って出ていった彼女は
夜になっても帰っては来なかった
「遅すぎます…」
何かあれば連絡の一つくらいある
しかし
連絡も一切なく一人で行かせるのではなかったと後悔しながら
捜しに行こうと家を出た
刹那
強い衝撃が
頭を襲った
何が起こったのか
「ぐっ」
しかしその場にいるのは危険だと察知し
頭を抱えながら後ろを振り返り間合いをとった
「何者です!?」
頭の損傷を調べながら殴った人物を見据える
頭部はかなりの損傷で人間であれば即死レベル
本気で殺すつもりなのだとわかった
「名乗る必要はないよ君は死ぬ、のだからね」
そこにたっていたのは大きなランスを持った青年
黒い髪が印象的でその目は憎しみに染まっていた
何故見知らぬ人物に此処まで恨まれているのか
ノアはさっぱりわからなかった
「そう簡単には殺されてはあげませんよ」
とはいえ
武器はまったく持っておらず
先ほどの攻撃でうまくからだがうごなかない
「ははっ無駄だよ…もう君は動けないんだから」
「…であれば、」
ノアの姿が消えた
「逃がすか!?」
逃げたのかと追いかけようと男が動こうとした
ビシャッ
床の一部に赤い液体が大量に飛び散った
ノアは男の背後に立って近くにあった柵の一部を男に突き刺したのだ
「…っ…どこまでも…お前は俺を苛立たせる!?」
腹部刺さったまま男は振り返りランスでノア斬り飛ばした
覚悟していた衝撃にうめき声をあげることはなかった
損傷から考えて彼から逃げるのは不可能だった
それににげきっても彼女に迷惑がかかる
どうせ逃げることも叶わないならばコイツを倒していこうとした行動だった
「逃げることをしなかったのは褒めてあげるよ!これで終わりだ!?」
もう指先ひとつ動かない
「……シ……ア」
そう呟いたすぐあとに
ガシャン
と機械が壊れる音が周囲に響いた
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