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ある庭で椅子に座りお菓子の並んだテーブルで一人、帽子をかぶりスーツ姿の女が紅茶を飲んでいた
「…最近クイーンの機嫌が良すぎる…」
ポツリと呟くと考え事を始める
アリスの近くにいた人形を壊したと
トランプどもは上機嫌に話していたのが理由だろう
別に機嫌がいいから私に何かある訳ではない
悪ければ友人のウサギが八つ当たりされて半泣きで仕事をする位でしかない
しかしいつも怒ってばかりいるクイーンが笑っていると不気味ではある
「確か…ノア、だったか」
アリスの寵愛をうけたとされる人形
手に持っている紅茶を見つめる
多少興味はあった
彼はどのようにアリスを思っていたのか
愛している
と言葉にするのは簡単だ
しかしチェシャ猫がウサギに向けている執着、独占欲、優しい眼差し、想い
不思議でならない
何故そこまで想えるのか
彼が生きていたならば
お茶会に招き是非とも聞きたかったものだ
しかし今となっては確かめる術もない
「実に…残念だ」
持っていた紅茶はすっかり冷めきっており静かにテーブルに置いた
一人椅子に座り
空を見上げる
「…いえ、何も方法がないわけではないか」
壊れたならば直せばいい
女はそういうと一人その場を去った
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