第零話~プロローグ~

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『ダン、ダダダダダッ』 夜。 とある村で銃声が響いていた。 二人の少年は魔法や銃弾が飛び交うなか、燃え盛る村から森へと走っている。 ボロボロの衣服を身に纏い追っ手から逃げていた。 「「ハァ、ハァ、ハァ…」」 二人の少年の内、一人は10歳に達するかそこらの黒髪の少年。 もう一人の少年は今にも泣きそうになりながら、 黒髪の少年に手を引かれながら走る5歳くらいの銀髪の少年。 二人は村を抜け出し、森へと入る。 夜だというにも関わらず、森は村を燃やしている炎に照らされ、 空を見上げると夜の濃紺な色に淡いオレンジ色が広がっており明るかった。 「ここまでくれば…」 そう言って森をしばらく走った少年達は川のほとりにたどり着いた。 「うぅ…グスッ…おとう…さん…おかぁさ…ん…グスッ…」 危険を免れたと察した銀髪の少年は堪えていた涙をとめどなく流す。 黒髪の少年はその姿を見て、悲しい気持ちを抑えて銀髪の少年の頭を撫でる。 その時、抜けてきた森の奥から複数人の足跡が聞こえてくる。 そして黒髪の少年はまた銀髪の少年の手を取り走り、茂みの中へと隠れる。 二人は茂みの中で隠れ、追っ手を撒く。 しばらく経ってから、二人の少年は茂みから出て追っ手達とは逆の方向にしばらく走った。
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