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しばらく走ると草原が広がる広場に着いた。
サァーと吹き抜ける風はまるで何事もなかったかのように、ただそこに流れる。
その風に煽られ草原はそよぐ。
森と森の境目。そこに二人の少年はいた。
「ハァ、ハァ、ハァ……もぅ走れないよ…。」
銀髪の少年はそこに座りこみ、黒髪の少年を見上げる。
「そうだな、おれも疲れたよ…少しだけ…少しだけ休もうか。」
そう言って黒髪の少年は銀髪の少年の横にドサッと座る。
二人は仰向けに寝そべり、星が綺麗に瞬く夜空を眺める。
そこに会話はない。あるのは二人の呼吸する音のみ。
そんな静粛な休息も長くは続かなかった。
二人がいたその場所に追っ手の一人がたどり着いた。
二人はすぐさま起き上がり逃げる。
追っ手は片手に武器を持ち、もう片方の手には魔力が集まり、火の玉ができていた。
そして逃げる二人の行く先に火の玉を放った。放たれた火は炎になり、炎の壁を作り二人を遮る。
追っ手は二人を追い詰めた。そして口を開く。
「ここまでだ、人柱よ。おとなしく…」
『グシャアッ!!』
追っ手が口を開いた少しの隙をついて黒髪の少年が持っていたナイフで首を撥ねた。
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