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首を撥ねられた追っ手の身体は切られたところからブシャーと音を立て激しく血を吹き出し、倒れた。
「はぁ、はぁ…ケガはないか?」
そう言って黒髪の少年は、黒く綺麗な髪には返り血が滴り、手には血がべったりとついたナイフを持ち銀髪の少年に振り向く。
「その人…死んだの?」
「あぁ…」
黒髪の少年はナイフをしまいながら答えるがそれ以上語ることはなく黙る。
「行こうか」
そう言って黒髪の少年は銀髪の少年の手を引き歩いた。
二人が歩きだしてすぐに横たわっていた遺体から赤色の閃光が発せられた。
その閃光は夜空にまで登り、花火の様に空で大きく、そして嫌に明るく光った。
その光が治まった直後に『ボゥッ』と音を立てて遺体が燃えた。
「「!?」」
「嵌められた…」
「ど、どうしたの?」
「あれは魔法で作られた人形だ」
黒髪の少年は『ギリッ』と歯軋りをしてから周りを警戒するように見回す。
そして、何もない所に手を当てて魔力を込める。
次の瞬間に空間がひび割れ、黒い穴が開かれる。
そして黒髪の少年は腰に挿したナイフを鞘ごと銀髪の少年に渡した。
「いたぞッ!!」
黒髪の少年がナイフを渡した時、森から出てきた複数人の追っ手に囲まれてしまった。
「えっ…」
と銀髪の少年が声を発した瞬間だった。
身体が持ち上げられ、黒い穴の中に投げられた。
「行けッ!!…運が良かったらまた会えるかもな…」
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