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【ハル】
「え~と…キミ、お母さんかお父さんに何か買ってきてと頼まれなかった?」
【少女】
「だーかーらー!私はあなたの娘なのです!」
【ハル】
「いや、俺はキミみたいな子は知らない。第一、子供なんて…」
【ミウ】
「“キミ”じゃなくて“ミウ”で~す~!本当にお父さんの子なのです!」
【ハル】
「はぁ…ミウちゃん?お兄さんは暇そうに見えて暇じゃないんだよ?店番が終わったら遊んであげるからさ、今日は帰ってくれないかな?」
暇でないと言えば嘘になるが。
【ミウ】
「う~…どうしたら信じてくれるのですか?」
【ハル】
「信じるもなにも……じゃあ俺の名前と生まれは?」
【ミウ】
「名前はハルです。生まれは詳しく話してくれなかったですが、この村に拾われて育った、ですね?」
まぁこの程度なら同じ村人なら知っている可能性もある。
【ハル】
「じゃあ……ん!そうだ、俺の嫁さんって誰?」
【ミウ】
「そ、それは…」
【ハル】
「どうした?ミウちゃんの言う所のお母さんってやつだ」
【ミウ】
「い、言えないです…」
【ハル】
「それは知らないから…違う?」
【ミウ】
「ち、違います!こればっかりは言えないのです!あ!これだけじゃなく、未来に関わる事すべて、私の口からは言えないのです~」
だんだんと涙目になっていく少女を見ていて、なんだかこっちが悪い事をしている気がしてきた。
【ハル】
「わ、わかったわかった。だから泣かないでくれ!」
【ミウ】
「じゃあ私がお父さんの娘って─」
【ハル】
「それは別。なにかさ~決定的な証拠はないの?」
【ミウ】
「証拠…ですか?」
【ハル】
「うん。未来の…ミウちゃんのお父さんに、何か渡されたりしなかった?」
【ミウ】
「あ!たしか……これです!」
そう言うと、ポッケから1つの首飾りを取り出した。
【ハル】
「ん?それって…」
【ミウ】
「はいです。ハルさんが着けている首飾りです」
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