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【ハル】
「これからどうするかって話しをね」
【ミウ】
「で、です!」
【オヤジ】
「まぁいい。…ほらよ!旅立ち祝いだ」
【ハル】
「ん?け、剣!?」
おやっさんは俺に1本の剣を渡した。
【オヤジ】
「外には魔物がうようよいやがる。多少の剣術の心得はあるだろ?」
【ハル】
「多少って…所詮子供のチャンバラレベルだぞ…」
村の子供達相手のチャンバラや、剣道を少しやっていたが、もちろん真剣を振った事はない。
【オヤジ】
「ま、ヤッゼまでならそれだけできれば十分だ。安物だが贅沢は言うなよ?それと、これは今日の店番代だ」
【ミウ】
「うゆ?」
【ハル】
「……なぜミウに?」
【オヤジ】
「お前に渡したら無駄遣いしちまうからだ。こっちの嬢ちゃんに預かっててもらえ!」
おやっさんは、バイト代の入った袋をミウに渡した。
【ハル】
「……別にいいけどさ」
【ミウ】
「あう!あわわ!ハル~!」
【ハル】
「あーはいはい、ちゃんと預かっててくれ」
【ミウ】
「わ、わかったです!」
【オヤジ】
「ははは!とりあえず今日はしっかり休んで行け」
【ハル】
「うん。そうするよ。ミウ、それでいい?」
【ミウ】
「は、はい!大丈夫です!」
【ハル】
「そんじゃ帰るか」
【オヤジ】
「おう、お疲れ!」
俺はミウを連れて道具屋を出て家に向かった。
【ハル】
「まぁ、少し狭いけどくつろいで」
【ミウ】
「ふぁ~い……」
【ハル】
「もう寝るか?」
【ミウ】
「大丈夫…です~」
自分の家に着いた所、時間的にはまだ早い気もするがミウは眠そうだった。
一度にいろいろ説明したり、時空間移動は意外と疲れる物なのかも知れない。
ミウはまだ小さい。年にして10歳くらいだろうか?
こんな子供を1人で行かせるなんて、我ながら何を考えていたのだろうか…
【ミウ】
「お父さん…」
【ハル】
「だから、お父さんと…って、寝言か」
【ミウ】
「お父さん…ミウ、がんばるからね…がんばって役目を果たすからね…」
【ハル】
「…っ……」
俺はミウを背負ってベッドへと寝かせた。
【ハル】
「くっ!」
外に出ると、空は暗くなっていた。
そこで俺は自分の頬を殴り、悔やんだ…
【ハル】
「なんだよ役目って…なんで…ミウは泣いてんだよっ…」
親が恋しくなり泣いた…と言う感じではなかった。
【ハル】
「あんな小さな子に、何をやらせるつもりなんだよっ!」
初めて会った時からずっと明るかったミウ。
暗い表情さえしたものの、決して泣かなかった子が“何か”を思って涙を流した。
【ハル】
「クソッ!」
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