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「まったく、人生なんて運さえ良ければ成功したも同然だよ」
「どうしてだい」
「だって、そうだろ。頑張った挙げく金持ちになっても、女の娘にモテても、不慮の事故や事件に巻き込まれて死んでしまったら無意味じゃないか。だけど運さえ良ければ命は落とさない。努力もいらない。宝クジに当たって、自分を好んでくれる美女をゲットできる」
「なるほどね」
「ああ、どうにかして運が手に入らないものだろうか」
「うぅぅん」
「ま、そんな簡単に運が手に入るなら誰でも」
「あっ」
「なっ、なんだよ。人が喋ってる途中に」
「その方法を、思いついたんだよ」
「えっ、本当かい。ずいぶんと、はやいな。」
「まあ、少し主旨とはズレるけど」
「いいよ、いいよ。とりあえず教えてくれよ。もったい振らずに」
「うん。それはね、運の良い人の側にいるってことさ」
「いまいち意味が分からないんだけど」
「つまり運の良い人の分け前にあずかるんだよ」
「なあんだ。しみったれた話だな」
「馬鹿にするのかい。望みには、近付けるはずだよ。運の良い人と一緒にいれば墜落する飛行機にだって乗らなくて済むし、同じ馬券を買うなりして儲けにもありつける。きっと優しい彼女もいることだ、友達くらいは紹介してもらえるかも」
「たしかに、そう考えてみれば……」
「納得してくれたみたいだね」
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