宇宙の要求

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なんの前触れもなくそれは現れた。 空に浮かぶおびただしい数の物体。誰の目にも、宇宙人の円盤であることは明らか。 ただちにテレビ中継車がやってきて、全世界に放送される。 これから何が起こるのか。かたずを飲んで見守る人々。 やがて、変化がある。円盤からガッガッガッと、無機質な機械音。人々の頭の中へひびく声。 「地球の者を差し出せ。百人ほどは必要。ある星へ、連れて行くのだ」 同時翻訳した言語をちょくせつ脳に伝えているのだろう。仕組みは分からないが、素晴らしい技術。 どの国の人々にも、宇宙人の言っていることは理解できた。 声はつづく。 「さもなければ、地球の者を全滅させる」 驚愕以外の、なにものでもない。たちまち全世界は騒然となる。 友好的な宇宙人かも知れないとの期待は裏切られ、悪い予感の方が当たってしまったのだ。 「期限は三日。それまで我々はここで待機しておく」 すぐに各国の代表者が集まり、緊急会議が開かれる。 「地球の者を差し出せと言ってきているが、奴らの目的は何なのだ」 「強制労働か、人体実験か、とにかくよいことに使うとは思えない」
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