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これが呼び水になったのか、どうなのか。次々に人がやってくる。
一人、二人、三人、四人……。
ある小さな国の元首は胸を叩いて言う。
「ワシも、連れて行け。国民を守らなければならないのだ。国を血で汚したくはない。命など、おしいものか」
やってくる者たちは老若男女さまざま。職業も、国籍も。男女の割合は半々くらい。
みな、人を救いたい一心。
二十四時間の後には、軽く百人を越えている。
今度は、円盤の下部の一点が白く光り出す。緑色に白。
何が起こるのだ。もしやあの時の光線よりも、もっと強力なやつなのか。
約束が違う。連れて行かれる者は、集まっている。気に食わないところでもあったのか。
人々は、肝を冷やして成り行きを注視する。
円盤から、集まった者たちへ次々と白の光線が当てられた。
体が、宙に浮く。吸い込まれていく者たち。
やがて円盤からの声。
「我々が想定していたなかで理想的なかたち。星へ連れて行く者たちは、じゅうぶんに集まった。繁殖に必要な条件を満たしている。任務完了。我々との別れ。永久に」
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