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おびただしい数の円盤は雲の向こうへと消えてしまった。
狂喜する人々。抱き合い、肩を叩き合い、なかにはキスをする者も。
命が助かったと、涙が止まらない。
宇宙人は言っていた。「我々との別れ。永久に」
もう二度と、地球にはやってこないのだろう。そういうふうしか、解釈できない。
連れて行かれた者たちはどのような目に合うのか。
それは分からないし、知りようもない。
しかし、彼らに対し感謝の念で溢れている。彼らは、身を呈して人々を救ってくれた英雄なのだ。
立派な像と碑を作り、後世にその名を残していこう。
多くの人々がそう考えていた時、空がピカリと光った。
あっ、という間もない。発射された光が地球を緑色に包むと、そこにいた人々はみな死んでしまった。
円盤の中で宇宙人は言う。
「戦争ばかりしているあの星をそのままにしていたら、いずれ我々にも害が及んでいたことだろう。宇宙にまで憎しみを持ち込まれたら、困るのだ」
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