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嬉しくて瞳に滲んだ涙。
一度鎖介をキツク抱き締めると鎖介から放れた。
普段とは違う、鎖介の流れた髪を手ぐしでとかしてベッド脇に座る。
俺はテーブルの上に置いてあるトレーを取って膝の上に乗せた。
「お腹空いたでしょ?お粥作ったから。今日は俺が鎖介の事甘やかしてあげるってばね。」
「マジ?凄ぇ嬉しい。俺、風邪引いたらお前の作ったお粥食わねぇと治らないんだょな。」
「うん、食べさせてあげる。」
鎖介に笑って小さめの土鍋の蓋を開ける。
少し手間は掛かるけど、鎖介の為に作った炊き粥からは良い香りがした。
俺はレンゲで梅肉を崩して混ぜると、少量を掬って息を吹き掛けた。
「熱いから気を付けてね?」
「うん。」
こくりと頷いた鎖介が可愛くて笑ってしまう。
俺はお粥を鎖介の口元に持って行った。
「はい、あーん。」
「あーん。」
餌を与えられる雛鳥みたいに鎖介が口を開けてお粥を食べる。
もぐもぐ口を動かして食べ物を飲み込んだ鎖介を見つめた。
「美味しい?」
「凄ぇ美味い。お前の作るお粥食べたら風邪引いて熱出してんのに特した気分になる。」
「もう、鎖介ったら。早く風邪治してってばょ?笑」
「そうだな。お前とヤったら直ぐ治る気がする。笑」
「莫迦、明らかに悪化するってばょ。調子に乗らないの!///」
軽く小突いて笑い合う。
また鎖介との幸せが戻って来て、俺は凄く幸せだった。
あんなに酷い事を言った俺を、許してくれて、未だ好きでいてくれる。
とても優しくて格好良い自慢の彼氏。
「成斗、ごめんな?俺…お前に酷い事言ったのに……またお前が戻って来てくれて、本当に嬉しい。」
「鎖介…。」
「俺なんかを好きでいてくれて、ありがとう。」
その言葉に驚いて、俺は鎖介に泣きながら何度も頷いた。
大好き。
愛してる……好きだょ。
もし誰かに鎖介を奪われたって、また喧嘩をしたって、俺は絶対に鎖介を放さない。
ずっとずっと、鎖介を好きだから。
それは何度生まれ変わっても変わらない。
どんな事があっても、一生鎖介を愛し続ける。
こんなに幸せな時をくれた鎖介に俺は何も出来ないけど、我儘でどうしようもないけど
こんな俺を選んでくれて
好きになってくれて
ありがとう。
―end――…
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