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目が覚めると、真夜中だった。
すぐ側に、シャミィが寝息を立てている。
無邪気な子供の寝顔そのものだ。
妹の「海」が居るせいで、女の子の寝顔は見馴れている。
(この子は本当に、子供のまま育ったって感じだな。)
「ソラ、起きたのか?」
サイラが闇の中で囁く。
「うん、いつの間にか寝てしまって…、すみません。」
柔らかな声が返って来る。
「気にするな。それから、敬語は無しにしてくれないか?君とは対等だ。」
はい、と返事をした後、夜空を見て歓声をあげてしまった。
「凄い!」
満天の星空とは、当にこの空を示すのだろう。
濃紺の闇の中に、いつも見馴れた星が数倍の輝きをもって瞬いていた。
小さな星雲が幾つも浮かび、圧倒的な迫力で、空を黙らせた。
「ソラの国は、争いは無いのか?」
「え?」
「戦いなど経験してなさそうだ。」
「僕の国はね。今は平和だよ。でも、戦い続けている国もあるよ…。僕の国も、昔は戦い続けていたんだ。」
「そうか…。」
サイラは、長い指を組むと額に当てて、
「私達は王女を取り返しに行く途中だ。」
と、呻く様な声で言った。
「王女…?」
「アリア。…王女の名前だ。私達の国は、ダインと言う。王国 ダイン。アリアは、次期王位継承者だ。しかし、拐われた。」
「拐われた?」
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