2/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
水面がキラキラと眩しかった。 先に飛び込んだクラスメイト達が、大きく手を降っている。 「空ー!早く来いよ!」 「サイコーだぜ!」 ああ、分かっているさ。 この程度の崖から飛び込むのは、 怖くなんて無い。 泳ぎに自信もある。 でも、「違う」んだ。 足が、上手く動かないのも、 クラクラして倒れそうなのも、 「ヤメロ」 って、何かが僕に教えているからなんだ。 どうしてなのかは分からない。 でも、 「コノガケハ、ヤメロ」 「キケンダ」と、 何かが僕に囁き続けているんだ。 それでも僕は、 大きく手を振り返して笑った。 「今、行く!」 と。 気のせいだ、と無理矢理思い込んで、 小高い崖から、皆の待つ海へと、 飛び込んだ。 空が青く青くどこまでも澄んで、 潮の香りが僕を包んでいた。 眼下には笑う友人達。 夏休みの、サイコーの一日になる筈だったんだ。 着水する寸前、 「空」は、優しい光りに包まれた。 そして、 皆の見守る中、 「空」は消えた。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!