プロローグ

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夕焼け空高く、トランペットのB♭がこだましていった。 まっすぐうち上がった音が、その空の中に深く深く染み込んでいく。 「調子はどう?」 瞬がたずねる。 「うん、いい感じ」 はづきは答えた。 本日、12月24日。 世間はクリスマスで賑わうこの日、でも二人にとっては違う、もっと大切な意味を持つ日。 「じゃあ、行こうか」 はづきが言った。 二人の背中を、紅い光が優しく照らして後押しする。 そんな、冬の日。 始まりは三ヶ月前だった。
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