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「あ、あっさりおっしゃいますね……でも現に――」
現に高須の右手はある。垂れ下がったりもせず、革の手袋をしてテーブルに置かれている。
「あぁ、これはですね、義手です」
高須はあっさり手袋をとって、右手を見せた。
それは明らかに人の肌ではなく、生気を感じないゴム製のものだった。
「なっ、なるほど」
「それ以前に事故に遭いましてね。手首から下を失ってしまいました」
高須は淡々と述べる。悲劇を語っているという様子は微塵もない。
「利き手でしたので、一度は美術の道に進むことを諦めようとも思いました。でもそんなときに、私を励ましてくれたのが貴方のおじいさまでした。今でもその一言一言をよく覚えていますよ」
『オレは、お前の描く絵が好きだ。うまく表現できるどうかじゃない。オレに、お前のつくる世界をもっと見せてくれ』
高須は熱く語った。
その時瞬は、病床にふせった祖父と交わした、絵の話を思い出していた。
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