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「むかし、祖父と話したことがありました。なぜ人は絵を描くのかと。それも高須さんと話されていた話題ですか?」
「その通りです。私たちが一番議論した話題でもあります。彼は当初、写実を絶対とする人でしたから」
詳しい議論の内容は、聞いたって到底わからないだろうと瞬は思う。ただ――
「祖父は高須さんからたくさん影響を受けていたと思います。絵について語る祖父は、楽しそうでした」
頭の中に染み込み、織り込まれた友との記憶が、病床の祖父を生き生きとさせていたことは紛れもない事実だった。
「もちろん私も、彼から教わり、大切なものをもらいました。それはお互い、生涯かけがえのないものだったということです」
素敵だ。
瞬は思った。
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