608人が本棚に入れています
本棚に追加
「よく自慢をされました。まだ白黒が主流の時代に、最新型のカラーで撮れるカメラだと。あの時は聞き流しましたが、確かに良いカメラです。こうして半世紀経っても仕事をこなしているのだから」
アルバムを見つめながら、高須は嬉しそうに語った。
「なるほどそうですか……啓二郎さんはよいお孫さんを持たれましたね」
「そんなことは――」
「いえ、カメラを通じ、強い意志が世代を越えて受け継がれる……美しいことです」
瞬は今まで、祖父の思いを継ぐとか、使命感にとらわれてカメラを構えてきたわけではない。ましてや、祖父に孝行らしいことができた記憶もなかった。
だから強い意思だか、美しいだかは言われてもわからない。
けれど、どこか誇らしい気持ちがするのは、気のせいではなかった。
最初のコメントを投稿しよう!